ロケハン(ハウススタジオ編)

 『舌〜デッドリー・サイレンス』の主な舞台は2つ。1組の夫婦が暮らすマンションの一室と、車で行く山道。夫婦の設定から考えて、マンションは2LDKぐらいが妥当。ハウススタジオ(撮影用に貸し出す家やマンション)を物色してみることにする。

 主演俳優のまんた氏がピンク映画関係者から格安物件の情報を収集してきた。2003年6月29日、まんた氏、製作の陶久氏、撮影の野崎氏とともに、池袋にあるそのハウススタジオをロケハンに行く。
 格安だけども部屋はダイニングキッチン含めて4部屋あり、十分な広さがある。入った途端、否応なく目につくのは、家具が少ない部屋の中で激しく存在を主張しているダブルベッド。やはりピンク映画やアダルトビデオで多く使われている模様。まんた氏が「幾人もの女性の汗と体液を吸ったベッドだ!」と叫び、陶久氏が「いや、ベッドじゃない!あれはステージだ!」と吠える。確かにあらゆるカメラアングルを狙えるポジションにあるベッド。もう一つの部屋にはシングルベッドがあり、絨毯から布団、カーテン、時計までピンク、ピンク、ピンク。女子高生の告白ものが撮れそう。というか、撮っているんでしょう。というか、他に何が撮れる?
 ダイニングルームにはテーブルや椅子、食器棚に冷蔵庫がある。これは普通の家具類なので、このまま小道具として使える。なにげなく冷蔵庫の中を覗いてみたら、そこにはスタッフが残していったペットボトルとともに、ローションが!しかも2本も!

 やたらと興奮したロケハンだったが、間取りがシナリオとぴったりなので、ここに即決。野崎氏は早速スタンドインを入れて、アングルを考え始める。もちろん、愛くるしいピンクの小部屋は(女子高生が住んでいる設定ではないので)絨毯もカーテンもすべて撤去の必要あり。堅気の夫婦が暮らす健全なマンションに改造しなければ。美術の仕込みに1日みておいた方がよさそうだ。

 ちなみに、このマンションの他の部屋は普通の住居で、レンタル会社の管理人は常駐していない。ロケハンしたいと申し込んだら、立会人のいないままドアの暗証番号を教えてくれた。って、いいのか、それで? 池袋で終電に乗り遅れたら勝手に入ってダブルベッドで寝ちゃう、なんてこともできるぞ。ただし、朝になったらアダルトビデオのロケ隊がやって来て、男優に間違えられてそのままAVデビュー、なんてことにもなりかねないが。
 それにしても、破格の安さはとっても魅力的!なハウススタジオなのでした。

このハウススタジオが、夫婦が暮らすマンションの一室、に生まれ変わる!

ダイニングルームと、備え付きの家具

ダブルベッドと、興奮ぎみのスタッフ

女子高生の部屋(ピンクすぎっ!)