現場スタッフ

 撮影は前作『イリヤ』に引き続き、野崎明広氏。16mmカメラを個人で所有している根っからのカメラマン。製作には、日本映画界に影で君臨するプロデューサー陶久英治氏についてもらえることになった。これは大助かり。細かくて面倒な金勘定や苦手な交渉事を片付けてもらえる。『イリヤ』の照明だった荻久保則男氏がまんたのりおとして役者に回ったため(荻久保則男とまんたのりおは別人格なので、キャストとスタッフの両立はできない)、照明は新たに大久保礼司氏にお願いすることになった。松梨組で荻久保さんと組んでいた大久保さんは、Vシネマ『極道刑事』『まいっちんぐマチコ先生Let's!臨海学校』などでも照明助手を務める若手のホープ。録音は、荻久保さんが勤める技術プロダクション、シバテックから引っ張ってきた桃田憲春氏。役者にしたいくらいの二枚目だが、もともとこの現場は女子が少なく、宝の持ち腐れ状態。
 その他のスタッフは『イリヤ』の流れでお願いすることができた。美術の本間千賀子氏は『イリヤ』では数日現場を手伝ってもらっただけだったが、今回は全面的に参加。大映のテレビ番組などでバンバン仕事をこなすプロは、かなり頼りになる存在。3作品続けて演出助手となった内田剛史氏の本業は合成マン。『美少女戦士セーラームーン』(実写版)だって担当してるのよ
 主人公の設定が画家なので、大量の画材道具が必要。画家である小山昭博氏(『イリヤ』の中の自殺ビデオで、睡眠薬自殺をしていた男性。役者ではないが、特別出演してもらった)に協力を仰ぎ、同じく画家の三原等氏にも絵筆の使い方など役者への技術指導をお願いする。というか、三原さんはそれのみならず、現場でもその後の打ち上げでも大活躍。運転はしてもらうわ、料理は作ってもらうわ、製作助手のような役割を担った。

 さて、前作まではフィルムで撮影していたが今回はビデオ、というのは当初からのプランだったが、カメラやフォーマットを何にするかは決めていなかった。居酒屋で飲みながらカメラマンらに「何で撮りましょう?」と相談したら、「どうせならハイビジョンで」ということになってしまった。翌日には陶久さんが製作プロダクションからHDのカメラを借りる約束を取り付けてくる。おいおい、いきなりハイビジョンかよ。そういうことを酒飲んだ勢いで決めてしまう、のっけから恐ろしい展開なのでした。

   
上の現場スチルの撮影者はまんたのりお氏。出演者なのに肌身離さずカメラを携帯。って、おまえは林家ペーか!

全スタッフ名は「キャスト・スタッフ」